真空管アンプメーカー|音の工房

真空管アンプに見る もの作りにっぽん

真空管自体は昔も今も変わりません。 その同じものを使った真空管アンプとなると昔と今ではかなりの違いがあります。
現在作られている真空管アンプの方が数段進歩し、はるかに高性能なっているのは間違いありません。

その進歩、性能向上に寄与しているのが周辺部品です。
これらの近代部品が真空管の本来の性能を引出し、真空管の真価が発揮できるようになったと思います。

真空管アンプ部品


抵抗、コンデンサ、トランスどれをとっても周波数特性、耐熱性、耐ノイズ性など各種特性で昔の部品とは比べものにはならないほど優れた性能になっています。

現在、真空管アンプが見直されて来ているのも単に懐かしいだけでなくオーディオ機器としてその良さがはっきり分かるようになったからだと感じます。

そして、これらの部品は今でも進化が続いているのです。より小型化、より高性能化、どこまで行くのだろうと思ってしまいます。
物によってはその変化サイクルが早く、ついこの間まであった部品が廃止されたり生産中止になったりと。
真空管アンプを製作する側から言うと部品の変更は大きな労力のかかることなのです。
変更部品での性能確認や設計変更 等々・・・。

しかし、もの作りなんて昔からその連続だったんですね。そして気づいてみるとすべての部品が素晴らしい性能品質になり製品(アンプ)自体の性能が著しく向上していったのです。

この様に素晴らしい部品でもの作りが出来る日本が私は大好きです。
だから、部品選定に関してはできる限り日本国産のものを使用するように心掛けています。

団塊の世代で来た私には『もの作りにっぽん』は最後まで言い続けたいスローガンなのです。
だから音の工房の真空管アンプにはしっかりと印刷しました『made in JAPAN』 と。

国産真空管アンプ

真空管アンプの組立て製作

音の工房の真空管アンプSK-100の場合、製作工程は以下のような4段階になっています。
 ①本体部品組み付け
 ②本体内部配線
 ③プリント基板組み付け
 ④動作確認試験

この他、これらの工程をスムーズに進めるために段取りの工程があります。
 ・ツイストペア線材の製作
 ・プリント基板部品組み付け製作
などです。

■本体部品組み付け工程

本体部品組み付けでは部品を取り付けるためスパナを使った力仕事もあり、本体に傷がつかないよう注意します。不用意な傷がつかないよう本体に保護テープを貼るなど細心の注意を払って製作しています。

真空管アンプ保護

また、ボリュームやトランスなどの部品を取り付けた際、確実にシャーシ(本体の鈑金部分)に接触していなければなりません。その理由はシャーシはGNDレベルになり、ボリュームの金属部分がGNDレベルでないとそこからノイズが乗ります。極端な場合ボリュームのツマミに触れた途端「ブーン」とハム音が出るなど不具合が生じます。

シャーシが金属の地肌ならそう心配いらないのですが、SK-100のシャーシには塗装がされています。塗装は絶縁体、その塗装も焼付塗装と言ってそう簡単に剥げないしっかりした塗装です。
そこで、GNDにしっかり落とさなければいけない部品装着には特殊なワッシャーを使ったり、一部塗装を削り取り確実に塗装の下の金属部分に接触するように組み付けます。そしてテスターによる接触確認を行っています。
部品が確実にシャーシ金属と触れてGNDレベルになっているかということは真空管アンプにとってとても重要なことなのです。

■本体内部配線工程

SK-100の真空管アンプでは内部配線をツイストペア線で行っています。

真空管アンプ ツイストペア線

ツイストペア線方式の利点は外部から来るノイズに対して強く、自ら発生するノイズも外に出さない性質を持っています。
例えばAC100Vなどは普通に配線すると、その線から盛大にノイズをまき散らしそのノイズが増幅回路に混入してスピーカーからノイズが聴こえてしまうことになります。

電流の進む側(+側)の線と帰ってくる側(-側)の線をらせん状にツイストペアにすることで線上に発生するノイズが相殺されアンプ内はノイズの無いとても綺麗な環境になります。

一般的には入力部分の配線にシールド線を使い外来ノイズを防ぐようにしています。
しかしこのシールド線、物によっては線間容量が大きく使い方を間違えると高音域を減衰してしまい、綺麗な高音が出なくなることもあります。
その点 ツイストペア線方式は高音域を減衰することもなくノイズだけを防いでくれる優れた配線手法です。

このためSK-100の残留ノイズは0.2mV(=200μV)以下という超低レベルを達成しています。
この低ノイズというのも澄んだ綺麗な音作りには欠かせない要素の一つです。

■プリント基板組み付け工程

プリント基板はあらかじめ製作しておきます。
プリント基板には真空管に必要な高電圧の電源回路があり、ノイズを嫌う入力回路もあり色々な回路が同居しています。
これらの一つ一つを考慮してプリントパターンが設計されています。そのためどのアンプも完成時の特性は基本性能をしっかりクリアしたものとなります。

 

■動作確認試験

プリント基板に結線すれば真空管アンプSK-100の完成です。

真空管アンプ


完成後、まず行うのが動作確認試験で真空管はまだ挿入しません。
絶縁抵抗計という測定機を用いて絶縁検査をします。AC100VラインとGND間に500Vの高電圧を加えた状態で絶縁抵抗を測ります。この真空管アンプに感電などのリスクがないか確認するためです。

真空管アンプ 絶縁抵抗計
使用している絶縁抵抗計


その後電源回路などの確認を行って、真空管を差し込みます。一通りのバイアス調整を行い組立工程の終了です。
次の詳細な検査工程までの間(8~24時間)ヒートランを実施します。

 

真空管アンプの検査工程

完成した真空管アンプSK-100、音の工房では動作試験チェック表と検査・出荷チェック表を用いて72項目の検査確認を全製品に対して行っています。
その一部をご紹介します。

真空管アンプオーディオアナライザー
検査で使用するオーデォオアナライザー

動作試験

(1) 絶縁抵抗検査
これは製品が組立配線完成後まず最初に行う検査で絶縁抵抗計を用いて行います。
<検査規格>DC500V 50MΩ以上

(2) 消費電力検査
消費電力を見ることでトランスや電源回路が正常に動作しているか、過度な電流が流れていないかチェックできます。
<検査規格>消費電力40W以下

(3) 真空管ヒーター電圧検査
真空管のヒーターに適正な電圧が加わっているかチェックします。
<検査規格>AC14.0~15.0V

(4) B電源電圧検査
真空管にはB電源と言って高電圧が必要な箇所があります。この高電圧を確認します。なお、B電源の確認には大元のAC100V電圧が変動した時(AC95V,AC100V,AC105V)の変化も記録します。
<検査規格>DC225~245V

(5) カソード電圧検査
真空管が電気的に適正動作しているかどうかを見る重要な検査です。本器は超三結回路ですので一般回路より高めのカソード電圧になっています。
<検査規格>DC33~37V

(6) 残留ノイズ検査
入力信号ゼロ時にスピーカー出力にどの程度のノイズ電圧が出現するか電子交流電圧計で計測します。AC500μV以下であればスピーカーからノイズ音はほとんど聞こえず無音状態のレベルです。
<検査規格>AC250μV以下

(7) 増幅度検査
左右のチャンネルの増幅度を検査します。左右の真空管ペアバランスや各素子の誤差をチェックできます。
<検査規格>左右差0.3dB以下

(8) 歪率検査
規定出力時の歪率が何%あるかオーディオアナライザーで検査します。このチェックで回路全体が設計通りの動作をしているか、使われている部品に不具合がないかを判断する事が出来ます。
<検査規格>0.1W時0.5%以下、0.5W時1.2%以下

(9) 周波数特性検査
これもオーディオアナライザーで検査します。歪率と同様に回路全体が設計通りの動作をしているか判断する事が出来ます。この周波数特性で音のくせもある程度分かります。
<検査規格>40,1000,20kHzにおいて±0.5dB以内

(10) その他の動作検査
その他、ヘッドホンの動作確認やフルボリューム時のノイズの確認、トランスのうなり音確認など実際の音出ししながらの検査も含め11項目のその他の動作検査を実施しています。


最終検査

動作試験で合格になった真空管アンプは次に最終検査を行います。

(1) 仕様確認検査
仕様通りの部品が取り付いているか、使用されている基板番号の記録など3~4項目の確認検査を行います。

(2) はんだ付け確認検査
真空管アンプを8ブロックに分け各ブロックのはんだ付け状態を目視で確認検査します。

(3) ねじの締め付けとネジロック確認検査
ねじの締め付けやネジロックの必要な箇所のねじ締め付けトルク確認とネジロック剤塗布を行います。

(4) 最終確認
S/N(シリアルナンバー)銘版の確認やツマミの位置スピーカーターミナルやヒューズホルダーの確認など12項目の最終確認チェックを行います。

ここまで行って真空管アンプSK-100は検査済み完成品となります。
あとは出荷待ちだけです。


梱包、出荷チェック

完成した真空管アンプをお客様の元まで大切にお届けするため梱包出荷チェックを念入りに行っています。

(1) 書類関係
製品に合った「取扱説明書」が添付されているか、保証書の内容に間違いないか、納品書の記載事項に間違いがないか再確認して真空管アンプと同梱します。

(2) 付属品の確認
真空管アンプのほか付属品がある場合それらのチェックを行います。

(3) 梱包
緩衝材の2重梱包など多少の振動でも問題ないような梱包を行っています。段ボール箱には「天地無用」「われもの注意」「精密機器」の3種類のシールを貼り運送業者への注意喚起をしています。

(4) 出荷
配送業者は基本的にクロネコヤマト宅急便を使用しています。今では配送システムの進歩で早く正確にお届けできるようになりました。
本州四国は翌日配達。北海道九州は2日後の配達になっています。

以上が音の工房の真空管アンプSK-100の完成までの流れです。少しでも真空管アンプ作りの雰囲気がお分かりいただけたでしょうか。これからも手を抜くことなくまじめにものづくりをしていきたいと思っております。

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