ビンテージ真空管ラジオ修復

ひょんなことから入手した古い時代の「真空管ラジオ」。
今回はこの真空管ラジオの修復、現代風に言うとレストアの記録です。

外見は比較的良い状態ですが、中を見るとボロボロです。もちろん動きません。
昭和12年頃製造されたナショナル製「国民受信機Z-3」というビンテージ真空管ラジオです。
ナショナルは現在のパナソニックの前身松下電器のブランド名です。
昭和12年と言うとまだ戦前で90年ほど前に作られたものです。この古い古いラジオを何としても動作させたいものです。

使用されている真空管は
・UY-57S:高周波増幅用
・UY-57S:検波用
・3YP1 :電力増幅用
・KX-12F:整流用
の4本です。
外観のほこりを取り拭いたら綺麗になりました。整流用のKX-12Fはゲッターがほとんど無くなり真空度が下がっているようです。
回路を調べましたら、回路仕様は高1ラジオ(1-V-1)でした。

中身をよく見てみるとこのラジオ、一度手が加えられているようでコンデンサ類が新しいものと交換されています。抵抗類はオリジナルのものの様ですが、さすがに昔のコンデンサは90年の年月劣化がひどかったのでしょう。
配線材料も昔のものでちょっと触るとボロボロ壊れてきます。この状態ではもう全部ばらして一から作り直すしかありません。

電源トランスもこんな状態です。
ただ内部の断線はなく絶縁抵抗も良好です。各電圧もちゃんと出ていて整備すれば使えそうです。

この当時はまだビニール皮膜の線材が登場していなく銅線に布被覆をかぶせ高周波ニスを塗付し絶縁を確保していたようです。

そして重要部品のバリコンとコイル・・・これもオーバーホールすれば何とか使えそうです。
結局完全に壊れていて使えない部品は以下の3点。
・チョークトランス:断線して使えません。現代の相当品を使います。
・再生用ボリューム:完全に壊れています。相当品を使います。
・整流用真空管KX-12F:壊れてます、どうしよう?

その他の主要な重要部品は何とか使えそうです。
・電源トランス:OK
・アンテナコイル、検波コイル:OK
・バリコン:OK
・KX-12F以外の真空管:OK
・マグネチックスピーカー:OK

抵抗とコンデンサと配線材は現代の新品と交換。

部品を全部ばらしました。錆とほこりだらけ。
こういうビンテージ物の修復はどの部品を生かしてどの部品を交換するかが難しいです。
何でもかんでも交換してしまうと違うものが出来上がります。
使えるものは出来るだけオリジナルのものを使い、どうしても使えないものは交換するというのが常道でしょうかね。

バリコンも分解して細かなところまで錆取り、掃除、オーバーホールです。
使われているビスは旧JISねじ。現代のISOネジには合いませんので、このネジを大事に使いまわさなくてはいけません。
マイナスねじなので外すのも取り付けるのも回しづらい。


シャーシーの錆がひどいので綺麗に錆を落として塗装します。

シャーシを塗装したら見違えるほど綺麗になりました。
なんとか行けそうです。

ここまで来ましたが解決していない問題が整流用の真空管KX-12Fをどうするかです。
オークションなどで入手しようとも思いましたが、整流管は酷使しやすく入手しても劣化しているものやすぐにダメになるものばかりです。
そこで、ここは割り切って整流管を使わず現代の素子ダイオードを使って整流することにします。
ダイオードと直列に1kΩ5Wのセメント抵抗を入れKX-12Fの代用としました。B電圧目標180~190Vです。
ダイオードにしましたので平滑用電解コンデンサーは大きな容量のものが使えるようになります。ここでは47μF400Vを使用しました。これで電源回路は完璧でしょう。
使わないKX-12Fはお飾りでソケットに挿しておくだけです。
元通りの完全再現回路にならず少々残念ですが、最終目的のラジオを鳴らすに向け修復を進めます。

オーバーホールした部品を取り付けていきます。
現代部品のチョークトランスと再生用ボリュームが光り輝きちょっと他の部品との差異がありすぎ。

真空管のヒーター回路は大きな電流が流れるので太めの配線を使用して配線を進めます。
今の配線材はビニール線材なので柔らかく、使用部品も小型化になったため内部はガラガラ、配線は比較的やり易かったです。

この当時はシールド線が無かったためか単線の周りにアース線をぐるぐる巻きにしてシールド効果を保っていたようです。ここはもちろん現代のシールド線を使います。
配線完了です。

まず真空管に掛る電圧を確認調整します。
B電圧は185Vになりました。
各部予定の電圧範囲で一安心。真空管も大丈夫のようです。

ドキドキしながらスピーカーをつなぎ再度電源ON、何とNHKアナウンサーの声が聴こえてきました。ちょっと感動です。
このラジオは音量調節ボリュームはありません。
その代わり再生調整用のボリュームが付いています。
検波用真空管の感度を極限まで上げるボリュームです。これを上げすぎると「ピーー」と発振してしまいます。発振する手前に合わせ込むと明瞭で大きな音が聴こえてきます。

バリコンにダイヤル文字盤を付けてタコ糸で連動して動くようにします。
この文字盤の照明は豆電球でしたが玉切れしていて点きませんでした。そこで、電球色のLED2個を代用して付けました。これで玉切れの心配はありません。

最終調整が終わったので箱に入れ完全修復完成です。

マグネチックスピーカーの音を初めて聴きましたが結構まともな音です。
マグネチックスピーカーはコイルの中に針がありコイルに音声信号が加わると中の針が振動します。その針の先に紙のコーン振動紙が接着されていて振動紙から音声が聞こえる仕組みです。

ビンテージ真空管ラジオに命を吹き込みよみがえりました。ラジオ放送がちゃんと聴けます。
この時代の真空管ラジオでラジオ受信できる完動品はそう多くはないと思います。
このラジオで戦時中の大本営発表や玉音放送そして戦後の笠置シズ子や美空ひばりを聞いたのだろうと思うとグッときますね。

今回ビンテージラジオを修復して思ったことはいろいろ工夫されていたことです。90年前にこれを作り上げた技術者は少ない物資の中、これほどのものを作り上げていたことに驚きました。
それを思うと現代は恵まれています。部品などは小さく性能が良くそして安く手に入ります。
先人の努力と経験が現在の技術のみなもとになっているのだと思います。

色々感じることが出来た修復でした。

KT88全段差動プッシュプルアンプ

KT88で全段差動プッシュプルアンプを製作してみました。
KT88は見た目にもなかなか迫力のある真空管でビーム出力管と言われる真空管です。
また、トランスは今ではもう入手困難で貴重なTANGO製トランスを使用しました。やはりTANGOのトランスはいいですね。

回路は音にこだわり全段差動プッシュプル回路です。多少の出力は犠牲にしても音質にこだわればやはり全段差動でしょう。それでも最終出力は8W+8Wになりました。一般の音楽鑑賞には十分すぎる出力です。

内部の製作過程の写真です。
KT88のヒーター電流が大きいので太めの線で 配線します。

取付部品は平ラグ版に取り付け必要個所に配線していきます。
熱を考慮してコンデンサ類は真空管の足に直接取り付けることとはしません。必ず平ラグ経由で配線します。

配線の完成です。

本機の回路構成は初段と次段を6SN7を2個使い2段直結の差動回路を構成しています。
通常の差動回路はバイアスのバランス調整部分があります。(プッシュプル回路ではバイアス調整が必ず必要になります)
本機ではそのバイアス回路に自動バランス調整回路を採用しました。
この回路で経年変化での調整や真空管の差し替え時の面倒な調整が必要なくなり、いつでも気軽に真空管交換をすることが出来ます。
本機の大きな特徴です。

トランスは電源トランス、出力トランスともTANGO製トランスです。
出力トランスは40Wまで使用できるトランスで余裕のある動作です。出力トランスは出力真空管と共に音作りに重要な部品です。

とかく真空管プッシュプルアンプの音はシングルには勝てないと言われますが、全段差動アンプだけは違います。
プッシュプルで効率を求めているわけではなくあくまでもA級動作領域で音質にこだわっているのです。
プッシュプルの良い点である歪の少なさ、低域の安定性は備わっていますのでプッシュプルとシングルのいいとこ取りの回路です。


出力に関してはKT88のプッシュプル一般回路なら35~40Wは出るでしょう。この全段差動は8W+8Wです。
8Wもあれば十分すぎる大音量で音楽鑑賞できます。逆に35Wなんて一般家庭ではまず出さないかなと思います。

この「KT88全段差動プッシュプルアンプ」を限定1台奉仕品(6か月間無償保証付き)として販売しようと思います。

販売は音の工房アウトレット品・特別奉仕品ページから→https://otonokobo.jp/01_products/outlet.html

品名全段差動プッシュプル真空管アンプ
型式EL88全段差動PPアンプ
周波数特性5Hz~82,000Hz (8Ω負荷1W出力時-3dB)
出力8W+8W (8Ω負荷)
歪率特性全高調波歪特性  0.18%(2W)
利得22.3dB
残留ノイズ0.5mV以下
ダンピングファクターDF=10.0
入力感度0.43V (8Ω4W出力時)
入力インピーダンス20kΩ以上
スピーカー出力インピーダンス4~8Ω(16Ω可)
電源電圧と消費電力AC100V±5% 50/60Hz 消費電力175W
外形寸法(幅)402×(奥行)290×(高)180 mm
質量約13kg
使用真空管KT88(4本)、6SN7(4本)
入力端子形状RCA 
出力端子形状ターミナル バナナプラグ対応
AC100Vコネクタ形状3P ACインレットタイプ
使用ヒューズ定格4A125V(または4A250V) 
出力回路名全段差動式プッシュプル回路
付属品電源ケーブル、取扱説明書、保証書

EL34全段差動プッシュプルアンプ

EL34を使用した全段差動プッシュプルアンプを製作してみました。
じつは5年前に製作していたこの「EL34全段差動プッシュプルアンプ」に改良を行いリニューアルしたものです。

こうしてGT管の大型真空管が6本ずらり並ぶと壮観ですね。
全段差動プッシュプルアンプは何しろ音の良さが売りです。これも超三極管接続回路と同様、真空管全盛時代にはなかった新しい真空管アンプの回路です。音の追求を根本回路から見直し到達した真空管回路としては究極の回路とちょっと大げさに表現します。いや、大げさではないこの音です。

今回改良を行ったところは面倒なバイアスバランス調整部分に自動バイアス調整回路を組み込んだことです。
今までは真空管交換のたびに半固定ボリュームでバランス調整を行っていました。正確にはプッシュプルの2本の真空管の動作条件を正確に合わせ込み正しい差動動作を行うための調整です。

ここのバランス調整回路を自動化することで真空管交換や左右の真空管入れ替えでもいちいちバランスをチェックしなくてもよくなり非常に使いやすくなりました。
また、経年変化でバイアスバランスが変化しても自動回路ではいつも自動的に最適の状態にしてくれます。

真空管アンプにもいろいろな回路があり、回路によって出てくる音はかなり違うものです。
まず真空管出力回路を大きく分けると
・シングルアンプ:1本の真空管で出力している。音はいいが小さな出力しか出せない。
・プッシュプルアンプ:2本の真空管で出力している。大きな出力アンプで迫力あるが音自体はシングルより劣る。
その他にもあるが代表的な回路です。

シングルアンプは真空管の直線性の良い部分で動作するため一般的に良い音がします。
ただ、大きな出力は出ませんので大音量で迫力をと言うより落ち着いた音量の良い音を楽しむアンプと言えます。


それに対してプッシュプルアンプはプラス側信号とマイナス側信号を別々の真空管2本で増幅し出力トランスで信号を合体します。
このため大きな出力で迫力のある音が出てきます。
反面、信号を2本で別々に増幅し合体させるためか音質に今一つ満足できないところも感じられます。

今回の「全段差動プッシュプルアンプ」ですが、従来のプッシュプル回路の弱点である音質面を克服した理想のプッシュプルアンプになっています。
2本で構成していますがプラス側、マイナス側別々に増幅するのではなく両方とも真空管の直線性の良いところを使って増幅しています。
このため、音質はシングルアンプ並みに良い音で差動動作のためノイズや雑音に対しても強い回路になっています。
また従来のプッシュプルアンプほどの大出力はありませんが、シングルアンプよりはるかに大きな出力を出せ、余裕のある音量で豊かな音を楽しむことが出来ます。

つまり、シングルアンプとプッシュプルアンプのいいところを集めたアンプと言えます。
真空管アンプを自作される方は「超三極管接続回路」とならび、「全段差動プッシュプルアンプ」はとても人気のある真空管アンプなのです。

ただ、この全段差動プッシュプルアンプの難点と言えばバランス調整が必要な事です。
自作される方は測定器も持っており調整にも慣れているので特に問題にもならないでしょうが、一般の方が使用する場合はこの調整作業は結構ハードルが高いものです。
長い間使用していると生じる経年的ずれをバランス調整で調整したり、真空管交換時は必ず行わなくてはいけないこのバランス調整があります。

今回この煩わしいバランス調整を自動回路にしたため自動で常に最適な調整がされるようになりました。
一般の方でも安心して全段差動プッシュプルアンプをお楽しみいただけるようにしてみました。
この「EL34全段差動プッシュプルアンプ」を限定1台奉仕品(6か月間無償保証付き)として販売しようと思います。

品名全段差動プッシュプル真空管アンプ
型式EL34全段差動PPアンプ
周波数特性5Hz~80,000Hz (8Ω負荷1W出力時-3dB)
出力5.8W+5.8W (8Ω負荷)
歪率特性全高調波歪特性  0.18%(2W)
利得最終利得23.8dB
残留ノイズ100μV
ダンピングファクターDF=15
入力感度0.37V (8Ω4W出力時)
入力インピーダンス20kΩ以上
スピーカー出力
インピーダンス
4~8Ω(16Ω可)
電源電圧と消費電力AC100V±5% 50/60Hz 消費電力125W
外形寸法(幅)360×(奥行)250×(高)185 mm
質量約10kg
使用真空管EL34(6CA7)2本、6SN7 2本
入力端子形状RCA 
出力端子形状ターミナル バナナプラグ対応
AC100Vコネクタ形状3P ACインレットタイプ
使用ヒューズ定格4A125V(または4A250V) 
出力回路名差動式プッシュプル回路
付属品電源ケーブル、取扱説明書

JBL STAGE A130スピーカー

以前から気になっていたスピーカーJBLのSTAGE A130を入手しましたのでご紹介します。

このスピーカーは何と言っても価格がリーズナブルで評判がいい、さて音の工房の真空管アンプとの相性はどうか実際に聴いてみることにしました。
真空管アンプSK-200-HBと並べたところがこの写真


サランネットをはずしてみるとちょっとおしゃれな顔立ちになります。
ホワイトコーンがとても綺麗。

まずは音の第一印象は、うん、なかなかやるなぁって感じです。
実勢価格で(2本1組)25,000~30,000円くらいです。なんとお財布にやさしい。

開封して初めの音こそ「あれ?」って感じでしたが2~3日エージングしていくとその実力を聴くことが出来るようになりました。高音中音はきれいで問題なし、そして低音がこの箱のクラスにしてはちょっと信じられないほどいいんです。
ただ、ここで取り上げたスピーカーなので音の工房がお薦めのスピーカーかと言われるとそういうことではありません。

次のような方に良いスピーカーかと思います。
・オーディオを始めたばかりで高額な機器は揃えられない、でも良い音で音楽を聴いてみたい。
・別セットとして書斎や寝室にサブスピーカーを用意したい。
・BGMで音楽を聴くがそれなりの良い音で流していたい。
などちょっとしたオーディオシステムのスピーカーとしては良いのではないかと思います。

<STAGE A130の仕様>
2ウェイ・133mm ウーファー、25mm アルミニウム高音域ユニット・スピーカー
133mm ポリセルロース低音域ウーファー
25mm アルミニウムドーム型高音域ユニット

周波数特性: 55Hz~40kHz
感度: 86dB @ 1M, 2.83V
公称インピーダンス: 6Ω
クロスオーバー周波数 3,2kHz
キャビネット形式 リアファイアリング・チューンドポート・ベースリフレックス
寸法 (WxDxH): 190 x 230 x 321mm
重量: 5.45kg

このスピーカーはバスレフ型でバスレフの穴が後面に開いています。
このように後ろにバスレフ穴があるスピーカーの場合、設置上の重要な注意点があります。
それは後面を壁にくっつけるような置き方をしてはいけない事です。必ず後ろの壁から15cm以上離して設置してみてください。
このバスレフ穴から出た音(特に低域音)は後壁に反射して前面へ出てきます。この時前面の音とうまく結合して豊かな低音を作り上げます。
後の壁にピタッとくっつけるとこの効果がなくなりちょっと残念な音となってしまいます。
後の壁との距離により音が変化することがあります。ご自分の好みに合わせて壁との距離を置いてください。

JBLのスピーカーターミナルは上のような写真のターミナルです。
これを見てJBLのスピーカー端子はバナナプラグに対応していないとのネット記事が散見されます。
しかしそのような事はなくちゃんとバナナプラグに対応しています。ターミナルの真ん中にある丸いおへそのようなものが外せるのです。ちょっと外しづらいですがピンセットか小型ドライバーのようなもので真ん中のおへそのようなものを取り外します。

外すとバナナプラグが挿し込める金属部分が現れます。



このJBL STAGE A130と音の工房の真空管アンプの相性ですが、いいですねぇ。(あくまでも個人の感想です笑)
周波数特性が「55Hz~40kHz」、インピーダンス「6Ω」、そして感度が「 86dB」 と申し分ありません。

音の好みは人それぞれです。
なので好みのスピーカーも人それぞれです。
あなたにとって好みのスピーカーと出会う奇跡は・・・。

レコードプレーヤーのハム音改善

手持ちのレコードプレーヤーのハム音を改善します。
そのレコードプレーヤーはONKYO(オンキョー)の「CP-1050」です。


いろいろな付属機能はなくとてもシンプルなレコードプレーヤーです。
ダイレクトドライブでS字アーム。普段使いのレコードプレーヤーとしてはとても使いやすいものです。
アーム機構はDENONの代表的なプレーヤー「DP-500M」と同じものが採用されています。

さて、このCP-1050なかなか良いプレーヤーなのですが、ひとつ気になるところがありました。
それはアームの根本付近の金属部分に触れると(手を近づけると)ハム音が出るのです。
普通はそんなところに手は近づけないので問題ないのですが、どうしても気になります。

そこでハムノイズ対策を行ってみました。

まず手を触れるとハム音が出る場所ですが上の写真の矢印部分。アームを支える部分の上にあるねじ(金属)の所を触ると「ブーン」とハム音が出ます。
アーム本体の金属部分に触れてもハムは出ませんがここだけはなぜかハム音が出ます。おそらくアース処理が行われていないものと思われます。

と言うことでこのレコードプレーヤーの中を見てみることにします。
まずはカートリッジを取り外し

次にターンテーブルを外します。アームは動かないよう固定ロックをしておきます。

次に裏蓋を外しますが、アームや回転軸中央の突起があります。これらを避けるため雑誌や本を用意し8cmほど積み上げてその上にひっくり返して裏蓋を開けます。

裏ブタのネジを全部外し裏蓋を取ります。固着していてなかなか裏蓋が取れなかったのでトランスの蓋までとってこじ開けました。

アーム根元の裏側をよく見ますと

赤矢印のネジがハムの出るアームを支える金属部分とつながっていました。このネジでアームを支える部分を止めているものと思います。
そして、青矢印のネジはGNDアースにつながっています。
なので、赤矢印のビスから青矢印のビスへ線でつないでやればアームを支える金属部分もしっかりシールドされてハム音は出なくなると思います。
それではさっそくつなぐ線材作りです。

まず13cmほど線材を用意し、7cmほどビニール被覆を残して両端をむき、線を良くよっておきます。

両端をねじが入るように線材を丸く形どります。

赤矢印のネジと青矢印のネジ外して線材の丸くしたところに入れます。

この線を先ほどの赤矢印と青矢印の所へ取り付けます。

これで アームを支える金属部分もGNDアースとつながりましたのでハムは出なくなると思います。
あとは元に戻していきます。

裏蓋のすべてのネジを入れて元に戻します。

ターンテーブルを入れてカートリッジも元通り取付けました。
果たしてハムは取れたのでしょうか?さっそく電源を入れ確認します。

はい!見事にハムは消えました。うまく行きました。
これで何の心配もなく気持ち良くレコードを聴くことが出来ます。


このレコードプレーヤー使いやすく結構いいです。これからも末永く愛用していくことにします。

アコースティックギターの修復

久しぶりのブログ更新です。
今日は真空管アンプからちょっと離れてギター修復のお話です。

ひょんなことから黒のアコースティックギター(アコギ)を手に入れました。
MORRIS(モーリス)のMG-301BKと言う型式のアコギです。
モーリスギターは日本を代表する老舗ブランドでもちろん国産です。

このギター実は難点がありまして、ブリッジがはがれかけているのです。
「ブリッジ」とは弦の端をボディーに固定部品で接着剤で固定されています。
その接着が不十分だと弦の引っ張る力で剥がれてくるのです。
このブリッジの剥がれで弦の振動がうまくボディーに伝わらずひどい場合は歪んだ音になってしまいます。

写真でも分かるようにブリッジの下の方が剥がれ小型ドライバーが結構深く刺さります。
このブリッジを一度はがして綺麗に再接着し元の状態に修復するのが今回のお話です。

まずはこのブリッジを全部はがして取り除きます。と言っても無理に力づくで剥がすとボディー本体まで傷つけギターが使い物にならなくなります。
綺麗に剥がす方法はブリッジ部分をアイロンで温め接着剤を柔らかくし剥がしていきます。
まずはブリッジの周りをマスキングテープで保護します。

次にブリッジの形状に合わせて切り抜きした厚紙を作り上からあてがいます。これはアイロンをブリッジに充てる時ボディーにできるだけ熱が伝わらないようにするための工夫です。

そしてアイロンを最強に熱しブリッジの上に乗ぜてブリッジを温めます。

接着剤が柔らかくなった頃合いを見計らってドライバーなどを挿し込みながらブリッジをはがしていきます。

このブリッジ剥がしが一番緊張し気を使うところです。今回は運よく綺麗に剥がせました。
剥がした後の接着剤の残りなどを綺麗に取り除き、再接着するのですが接着部分をペーパーなどで磨き平らに下処理をしておきます。

使用する接着剤は「タイトボンド」と言う木工用の接着剤です。この接着剤は強烈でギター製作にはこのボンドが使われているとのことです。

接着の後はC型クランプで圧着固定します。この状態で接着剤がしっかり乾くまで24時間固定しておきます。

翌日、綺麗に接着できているのを見たときは感動しましたね。
ここまで修復できたのならより綺麗に仕上げようとフレット部分や弦を張る金属部分をピカールでピカピカに磨き上げます。

そして修復完成したアコースティックギターがこちらです。

ただ残念なことに私、ギターはそんなに得意ではないのです。
若いころ少しは弾いていましたが、今では指は全く動かずコードもほとんど忘れてしまいました。
また一から練習です。
指が痛い~!

大型アンプの最終試作

真空管300Bを使用した大型真空管アンプの最終試作が完成しました。3次試作でやっと最終の形が決まりました。
型式は「SK-300」です。

上が真管保護カバー無しで通常の販売はこの形になる予定です。下はオプションの保護カバーを付けたところです。

やはり300Bの音は素晴らしく、この球の内部抵抗が小さいこともあり無帰還の音も魅力的です。
そこで、フィードバックNFB(負帰還)を利かせたものと無帰還のものを切替スイッチでどちらでも聴けるようにしてみました。
ダンピングがほどよく効いたNFBの音と、300Bの飾らない無帰還の音を聴き比べしていただけます。(※1)
出力も8W+8Wですので余裕のある豊かな音で音楽を楽しめると思います。

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<※1解説>
NFB(負帰還)とは音質を改善する回路手法の一つです。回路上電気的フィードバックすることで周波数特性の改善、歪率の改善、ダンピングファクターの改善などを行うことができ、全体の音質を向上します。
無帰還とはこのNFBフィードバックを行いません。そのため真空管そのままの特性となります。
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今のところのスペックは
・300B三極管シングルステレオ(A級動作)
・出力8W+8W
・10Hz~70kHz(-3dB)
・残留ノイズ200μV以下
・接続スピーカーインピーダンス:4~8Ω
・入力3系統(正面SELECTORスイッチ切替)
・無帰還/NFB負帰還 切替スイッチ付き
・真空管照明ON/OFFスイッチ付き
・幅440×高240×奥330(390)

真空管にはやはり木の温もりが似合うと思い、サイドウッドと上面にもウエーブの効いた無垢のけやきを付けました。
SK-100と違い標準でウッドを付けます。
音の工房のアンプはこのけやきが特徴でシンボルみたいなものになってきました。

当初、真空管の照明はありませんでした。
試作段階でどうも外観的に今一つ物足りなさから真空管の足元の照明をしてみました。
そうすると真空管が浮かび上がりとても雰囲気が良いのです。

もともとサイドウッドや照明なんて音とは全く関係ないですし音を聴くだけなら無くてもいいものです。材料費も安くなり価格も少しは安くなるでしょう。
しかし、ある程度の金額を投資して真空管アンプを手に入れるわけですから、所有したときの満足感も必要なのではないでしょうか。
金属のシャーシ、ガラスと金属の構造物真空管、金属のスイッチにツマミ。そんな中にウッドの木の温もりやきれいな照明はどこか癒されるものがあります。
音楽を聴きながら真空管アンプを眺める。それもオーディオ趣味のひとつかと思います。

さて、最終試作が完成しましたがまだまだ多くの試験やデータ取りがあります。
実際の販売は2019年8月になるかと思います。もうしばらくお待ちください。

SK-100に黒色ツマミ仕様

先日、お客様から「真空管アンプSK-100-DBのツマミを黒色にすることはできませんか?」とのお問い合わせをいただきました。

そのお客様はオーディオ機器を黒色で統一しているようで、本来シルバー色のツマミを黒色にできないかとのご相談でした。

今使用しているツマミはシルバー色しかありませんので別のメーカーのものを探さなければいけません。
実は以前大型アンプのツマミを探しに秋葉原へ行ったとき、質感が良い黒色ツマミを見つけて入手しておいたものがありました。それを付けたところなかなかいい感じで違和感がありません。

既存のツマミ

黒色ツマミ

ツマミって色々な種類がありますが、なかなか気に入ったものが見つからないものです。
特に黒色ツマミとなるとプラスチック製のものはいろいろありますが、このアンプにはどうしても似合いません。やはり金属メタル製のツマミになります。—メタル製黒色ツマミは種類が少ない!

もうひとつの問題が、入手性は良いかということがあります。
今回は特注仕様でこれ1台だけでも良かったのですが、今後のことを考えると入手が比較的良いものを選んでおきたかったのです。

今回選んだ黒色ツマミは形、質感ともよくSK-100にマッチしていると思います。
特注仕様でしたがオプションで「黒色ツマミ仕様」を作ってもいいかなと思いました。

オプション費用は3,500円(税込3,780円)

ご興味のある方はお問い合わせください。

FAX電話機の交換

以前から少々調子が悪いところがあったFAXが、いよいよ壊れて使えなくなりました。
いまどきFAXかよとも思いますが、仕事上使う機会が時々あります。

ということでFAX電話機を急遽買い換えました。

手前が今まで使っていたもの、奥側が新しいFAXです。
最近のものはさすが小さくなってスタイリッシュ。FAXなのに紙を入れておかなくてもOK。FAX受信はメモリーされ後で好きな時にゆっくり印刷です。印刷するときに用紙を差し込むってことです。
以前はFAXが紙詰まりで読み取れないものがあり再送信を願いしたこともありましたが、これからはそのような心配もありません。
メモリーが安くなったので今ではメモリー受信は当たり前なんだろう。

替えて早々に1件のFAXでの注文とお客様から立て続けに2本の電話が入り、大活躍!

FAX電話機が小さくなった分、机の上も広く使えて言うことなしです。
こんなことならもっと早く替えればよかった。

フォノイコライザーSK-EQ10が雑誌に掲載

オーディオ雑誌「管球王国 vol.90」に音の工房のフォノイコライザーSK-EQ10が掲載されました。

「管球王国」という雑誌は副題に「別冊ステレオサウンド」と付いています。ステレオサウンド誌の兄弟分で、真空管に特化した内容です。春夏秋冬の年4回発行の季刊誌です。

10月29日に発売された「管球王国 vol.90」(2018年秋号)
の特集企画に弊社真空管フォノイコライザーが掲載されました。
雑誌社のこの企画の説明文は以下の通りです。

90号の特集企画は「管球式フォノイコライザーの鮮度高く表情豊かなアナログ再生」です。最新トレンドの管球式フォノイコライザーを集めて回路や筐体設計の特徴、それぞれの個性を探り、管球式でしか聴けない豊かなアナログ再生に迫ります。
内外の管球式フォノイコライザーをMC型/MM型カートリッジで試聴し、回路や筐体の設計が結実した音の個性を探ります。管球式ならではの、鮮度感とスピードを伴って味わい深いアナログ再生の魅力を徹底リポートします。

国内外の18モデルを集め二人の評論家の方が試聴し評価するものです。
価格帯は29,500円から上は120万円まで18機種の各社管球フォノイコライザーが集められました。何しろ真空管式のフォノイコライザーです。50万円以上するものが18機種中10機種もあります。
弊社のSK-EQ10-Cは低価格帯の部類です。

 SK-EQ10-C

そのSK-EQ10の評価は1ページ分びっしり書かれています。
かいつまんで抜粋しますと
・ピアノはスパッと抜けが良くのびやか。
・ワイドレンジ感のある音で、広い音場を描く。
・繊細さと鮮度感があり、完成度が高い音。
など高い評価をいただきました。

書店にでもお寄りの際は「管球王国」をちょっと立ち読みでもされてみてはいかがでしょうか。
雑誌社のURLは
https://www.stereosound-store.jp/fs/ssstore/bss_reg_tk/3066

音の工房のSK-EQ10の詳細ページは
http://otonokobo.jp/01_products/SK-EQ10.html