真空管全盛の昔には「真空管試験機」と言う測定機があり、今でも使用している方がいます。
いろいろな種類の真空管の性能を計測する測定です。

ただこの測定機は真空管の代表的な値を測定するだけで、詳細なデーターを測ることは出来ません。真空管が大体使えるものか、かなり劣化しているか、壊れているか程度のものでした。
さて、ステレオ真空管アンプを作ろうとすると右と左の増幅度の差が気になってきます。左右に同じ信号を入れた時、出てくる出力も左右同じでなければ音の定位がずれることになります。
つまり左右二つのアンプの増幅率をきっちり合わせる必要があるのです。そのためには左右の真空管特性が揃ったものを使う必要があります。
真空管は近代部品のように同じ性能のものを確実に作るこは出来ません。そこで多くの真空管を測定して性能の近いものを2本選び出し、ペア真空管として販売されています。それを左右の回路に使うと性能の揃ったステレオアンプが出来上がるのです。
ただ、市販のペア真空管は代表的な条件での測定でペアを決めています。
ところが作るアンプの条件が違うと必ずしも同じ増幅度にならないことがあります。
また、フォノイコライザーのような高い増幅度のアンプでは市販のペアでは対応できない事があります。
そこで、真面目に真空管アンプを作ろうとするとそのアンプに合った特性の真空管を選ばなくてはいけないことになります。
そこで音の工房のアンプに合わせた真空管試験機を新たに製作することにしました。
この試験機は音の工房アンプに特化したもので汎用試験機でありりません。
アンプと同じ動作状態で静的特性と動的特性を測定でき、精度の高いペア真空管選別が出来るようにします。
製作手順としては
(1)真空管試験機回路設計
(2)必要部品収集
(3)シャーシ配置設計
(4)シャーシ穴開け加工
(5)部品取り付け
(6)配線
(7)配線チェック、電源投入、動作確認
(8)調整検査
(9)完成
さて順調に進むでしょうか。
製作開始です。
回路設計が終わり部品もほぼ揃いました。
さっそくシャーシの配置設計です。
この配置設計では使いやすさを優先し部品同士の干渉を考慮し配置します。
部品の穴位置を決めシャーシに印をつけます。

穴開け作業。この作業が一番散らかり大変な作業です。
丸穴はボール盤やドリルで出来ますが、四角穴は大変です。大まかな穴を空けてあとはヤスリで角穴に仕上げていきます。根気のいる作業です。

穴開けが出来れば半分以上終えた気分になります。
さっそく部品が正しく付くか取り付けてみます。

